プログラム

座談会:得たものの大きさを振り返る

イノベーション経営カレッジ受講の成果
受講生座談会(3期/4期生)

プログラム受講後の感想に熱い思いを綴った卒業生は、今なおその思いを抱き続けているのか。2011年12月、年末の多忙ななか、3・4期の卒業生4名にお集まりいただき、その後の変化、抱負などを伺いました。

株式会社ローソン
ITステーション システム企画
シニアマネージャー
糟谷 俊文 氏(3期生)
株式会社ティージー情報ネットワーク
ITソリューション1部 LIVALITプロジェクト
マネージャー
増山 陽平 氏(4期生)
花王株式会社
情報システム部門 GBS部 サプライチェーン
マネジメントグループ 部長
原田 良一 氏(3期生)
株式会社ベネッセコーポレーション
基盤本部 IT戦略部
文教・高校生担当部長
保本 尚宏 氏(4期生)
自分たちの立ち位置を確認した9日間

糟谷 今日はIMCJのプログラムを受講した目的や成果などを振り返るということですので、私は、昨日、受講時に書いたものを見返してみました。それによると、目的は自社グループ外の交流を広げることと自社のIT部門の役割や取り組みの位置づけを確認したいと書いていましたね。振り返ると、この2つの目的は達成されたと思います。

原田 私も、自分たちの仕事の在り方──若手・中堅の育て方や、経営に対してどのような提案ができているのかなど、他の企業と比べてどのポジションにあるのか大変興味がありました。実際に受講してみて、メンバーからいろいろ話も聞けましたし、講師の方々からも本来あるべき位置づけというお話をいただいたので、非常にありがたかった。

増山 私は第一線で活躍されているリーディングカンパニーのトップの方々がどのような思いで、どんな手腕を振るっているのか、そんなお話が聞けるのが楽しみで臨みました。ところが、想定以上の気づきがあって、それは今まで自分は他力本願だったということ。トップにこうしてほしいとか、会社がこうあってほしいとか思っていたのが、受講時にCEOやCIOに問いかけたら、「それはお前がやるんだ」と言われて目から鱗が落ちました。それ以降、上がどうであれ、自分がやりたいことをやればいいんだ、と考え方も行動も変えるきっかけになったと実感しています。

保本 私の場合は、当然だと思っていた社内の価値観を、外部に出て他の価値観に触れ、バランス感覚を矯正・修正したいと思って参加しました。プログラムの内容も、参加メンバーが互いの考えを開示し、意見交換する機会が多く、いろいろな話、価値観を取り込むことができて、当初の狙い通りの価値をいただいたと感じています。

本音で語り合う関係を継続させる

糟谷 当社の場合、流通業界の情報しか入りにくいこともあり、つねに金融業や製造業などの異なる業界でのベンチマークしたいと思っています。それが、プログラムで成功事例やソリューションを目の当たりにすることができ、また、それをどう活かしたらいいかを考えるきっかけができました。今はそれらが手中にあり、いつでも何かに使えるという感じはありますね。

原田 私は、プログラムのときの資料を社内でかなり参考にさせてもらいました。考え方も大変整理されているので、伝えたかったことが伝わりやすい。例えばテストの品質を上げるにしても、自分たちはどのやり方を採るのかとか、また、受け身から攻めへというマインドセットとしても。それ以外にも、本当に参考になるお話や資料が多かったです。

増山 受講の成果と言えば、私は時間の使い方が変わりましたね。いろいろな人と接触する時間を設ける、それもできれば社外の人と。自分だけでなく部下にも、IMCJのネットワークを紹介したり、セッティングしたりして「会ってこい」という具合に、行動するようになった。ある意味、転機になったわけです。

保本 プログラムに自社の課題解決の発表の場もあり、それに対して皆さんから意見もいただいたので、持ち帰ってさらに検討したりしたのですが、私はそれをもう一度発表する機会があるといいと思いますね。自分の価値観やバランス感覚を修正する機会としても。

原田 同窓会や同期会など、事務局でもいろいろやってくださっているけれど、このカレッジの良さは本音で語れるところですよね。

糟谷 このカレッジが、一般的なセミナーと大きく異なるのは、そうそうたる講師陣との距離感だと思います。異質ですよね、逃げられない関係というか(笑)。

保本 人数が少ないというのもありますし。一般的な異業種交流会のようにその場で終わる関係ではなく、その後もずっと長く続く関係という意味では、海外進出企業の日本人会のような感じですかね。「同じ釜の飯を食う」みたいな共感、深い人脈を得ることができるという点など。

原田 その本音の部分を活かした交流の場が、今以上にあるといいですね。

増山 私がやりたいと思っているのが、分科会みたいに、個別の具体的なテーマを設けて集まること。データセンターとか、BCPとか、皆それぞれに関心があるテーマがあり、カレッジに参加した企業で成功事例をもつ企業も多いですよね。

原田 確か半年くらい前にBCPの情報交換会をしようよ、という話がありましたね。

増山 3期の方々で集まられたんですね。それを期をまたいで、できたらいいなと。

企業横断型で提言できる取り組みを

保本 イノベーションといっても、変えることが目的になると逸脱してしまう。割合に日本の企業は、新しい技術が出て、メディアで採り上げられたりすると、右へならえで採り入れたりするけれど、本当はそこにその技術は要らなかったのではないか、といったこともあると思うんですよね。

原田 その意味では、失敗例が聞きたいですね。我々も同じ轍を踏みそうな話もあるでしょうし、どこに意思決定の過ちがあったのか、抑止力として何が足らなかったのか、そういう議論ができれば面白い。

糟谷 少し話が大きくなるのですが、業界横断の標準化など、皆さんと協力してできることがあるような気もします。例えば、何かのマスタが統一化されて提供されれば、加速的に連携できることが増えてくると思いますし。

原田 プログラム受講のときに、糟谷さんにお願いした記憶があります。そこが統一化されれば私たちの業界は非常に助かる(笑)。

糟谷 流通のなかだけではなく、別の業界との連携でもあり得ますよね。このプログラムで講義をされるCEO・CIOの方々は、「日本のITをどうにかしなくては」という思いがとても強かったという印象です。自社という枠を超えて、私たちカレッジの卒業生でもできることがあるのではないか、と。

増山 グローバルな競争のなかで、企業間の連携がない非効率性、改善すべきところなど、統一化によるメリットを中心に議論するとか。

原田 社会的にどういう基盤が必要かといった議論をして、それを皆でつくり、実現させるプロセスがあればもっといいですよね。

保本 我々が横並びで「ぜひやりましょう」と言っても、「上が動かなきゃ」「国が……」みたいな話が必ず出てくるので、このネットワークを縦につなぐものもほしいところですね。

原田 皆でとりまとめて発信すれば、上が動くことも一方ではある気がします。とりあえず、何か形を創ってみることから始めてもいいかもしれませんね。

※本座談会出席者の方々の所属・役職は2011年12月時点のものです。

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